女川さいがいエフエム 79.3MHz:臨時災害放送局

「女川の町に正しい情報と元気を届ける放送を がんばっぺ女川」を合言葉に、毎日放送を行っています。

2011.08.06

北海道・室蘭市FMびゅーの協力によるスタッフ研修について

東日本大震災の被災地の一つである宮城県女川町で放送中の臨時災害放送局
「おながわさいがいエフエム」(79.3MHz・代表 松木達徳)は、
北海道室蘭市にてコミュニティFM放送を続け、まもなく3周年を迎える
室蘭まちづくり放送(以下、FMびゅー 84.2MHz・社長:沼田勇也)にご協力いただき、
地域に密着したラジオ放送を行っていくノウハウを得るためのスタッフ研修をお願いすることとなりました。

具体的な内容

8月より数回にわけて、女川さいがいエフエムのスタッフ1~2人を数日~1週間程度ずつ、FMびゅーが受け入れ、
室蘭において実際にFMびゅーの番組制作、取材、番組出演などの業務を経験しながら、
自分たちの住む町のための放送・番組作りとは何なのか?についてを学びます。

第一陣は8月8日から10日までの3日間を予定しており、
統括ディレクターを務めている星永 諭(ほしながさとし(30))らがFMびゅーを訪問します。

研修の目的

おながわさいがいエフエムは、町の八割が壊滅状態となり、
住む家を失うなど甚大な被害を受けた宮城県女川町において
4月21日より放送を続けている臨時災害放送局です。

地震と津波で電気・通信インフラが破壊され、防災無線も機能しなくなったことで、
現地では情報が不足していたことから、女川町出身で、
現在は東京で会社員をしている代表の松木らが呼びかけ、
それに応じた女川町の10代から30代の若者が参加して立ち上げました。

彼らのほとんどが自ら家や仕事を失った被災者であり、
かつラジオ放送の経験もない素人でしたが、
自分の町の役に立ちたい・・とディレクター役、アナウンサー役、ミキサー役、
それぞれ役割を決め、工夫を重ねながら、放送を続けてきました。

当初の予定では8月を目処に活動を終了する予定でしたが、
水没した土地への建築制限の影響で、
仮設住宅建設に適したまとまった土地がほとんどないという特殊な事情も手伝って、
仮設住宅の建設・入居が遅れていることや、

入居できても、仮設住宅の場所が町内あちこちに点在すること
(一部は隣接する石巻市内の道路建設予定地)から
元々の町のコミュニティが分断されてしまうおそれがあり、
またリスナー・町民からの要望もいただいて、
先頃、町側と放送局運営側の話し合いによって、
ひとまず年内いっぱいの活動・継続を決めました。

秋口からはほとんどの町民が仮設住宅に入居し、生活再建をはじめていきます。
また町内ではプレハブなどを利用して、店舗や事務所を再開する人達も出てきました。

ここからはそうした町の人々の暮らしや新しい生活のリズムに合わせた情報提供や
番組作りが必要だと考えていますが、そのためのノウハウがありません。
そこで同じく20-30代の地域の若者を中心にイチから立ち上げ、
「まちづくり」をコンセプトに放送してきたFMびゅーから
そうした点を学ばせていただきたいということになりました。

研修実施に至る経緯

FMびゅーでは東日本大震災発生直後から被災地支援のために
道内の他のコミュニティFM局とも協力しながら、
地元のリスナーに呼びかけて中古のラジオを集め、それを被災地に贈るなどの活動をしてきました。

また今年6月には社長であり、パーソナリティーでもある沼田勇也氏が
実際に宮城県内の被災地と、被災地で放送するいくつかの臨時災害放送局を訪ね、
取材した内容を室蘭の人々に伝えただけでなく、
数日間にわたって実際にそれぞれの局の番組に出演するなどボランティアとしても活動しました。

おながわさいがいエフエムにもその一環として立ち寄りましたが、
おながわさいがいエフエムのスタッフが自分達と同世代でありながら、
自力でコミュニティFMを立ち上げた沼田勇也氏やFMびゅーに親近感を感じたことからその後も交流が続き、
FMびゅーから提供された一部番組をおながわさいがいエフエムで放送するなどしてきました。
そしてさらに「何かお役に立てることはないか?」というFMびゅーからの申し出をいただき、
今回の研修をお願いすることとなりました。

おながわさいがいエフエムの現場で活動するスタッフの中には、
制約の多い避難所生活をしながら、
慣れないラジオ放送の仕事を覚えることで精一杯だったり、
あるいは車を流されて移動手段も失った者も多く、
震災以来、瓦礫に囲まれた避難所エリアから
ほとんど外に出ずに過ごしてきた者も少なくありません。

これから生活や町を再建していく上でも、
またより質の高い地域のための放送を出していくためにも、
いったんその環境を離れ、同じ港町という共通項をもちながら過ごしやすい気候と環境の整った室蘭の町や、
同世代が中心になって活動しているFMびゅーで研修をさせていただくことで
震災以来の張り詰めた気持ちを一回リセットし、
新たな気持ちでこれからの放送に取り組んでいければと考えております。

最後となりますが、
今回の申し出を快諾くださったFMびゅーの皆様、
そして彼らを現地で受け入れ、支えてくださる室蘭の皆様に
深く御礼申し上げます。

FMびゅー84.2MHz 公式webサイト http://fmview.jp/

本件に対するお問い合わせ先

おながわさいがいエフエム 広報 天谷(あまや)
(090)6499-6617
info@onagawafm.jp

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