女川さいがいエフエム 79.3MHz:臨時災害放送局

「女川の町に正しい情報と元気を届ける放送を がんばっぺ女川」を合言葉に、毎日放送を行っています。

おながわさいがいエフエムに対して、関心を持っていただきありがとうございます。このページでは皆さんからよくお問い合わせいただく内容・質問と、その回答をまとめてご案内させていただいています。お問い合わせいただく前に下記の内容をご確認いただき、その上でもわからないことがあれば直接お問い合わせ窓口へお願いいたします。

メールによるお問い合わせ info@onagawafm.jp
電話によるお問い合わせ (090)6499-6617
Q1.おながわさいがいエフエムってどこにあるの?

宮城県の牡鹿郡女川町という町にあります。宮城県第二の都市 石巻市に隣接し、仙台からは電車やバスを乗り継いで2時間弱かかる港町です。2011年1月時点での人口は約9,700人、主な産業はさんま、カツオなどを中心とした漁業、牡蠣、銀鮭などを中心とした養殖、そしてそれらを加工する水産加工業です。特にサンマは水揚げ高全国一位に輝いたこともあり、それにちなんで毎年秋に「秋刀魚収獲祭」などのイベントも行われています。また少子高齢化が他の地域よりも早いスピードで進行しており、人口の35%以上が高齢者です。東日本大震災では、この町の各浜や市街地を高さ20メートルにも達する津波が襲い、宅地・商業地の七割がさらわれ、港湾施設、漁船、そして住宅、商業ビルなどの大半が失われました。死者・行方不明者は900人以上、また震災後は仕事や住む場所の兼ね合いから人口流出が進み、実数は6,000人台と言われています。

Q2.臨時災害放送局ってどんなもの?

未曾有の災害に見舞われた被災地の中での住民への情報伝達手段として、許可を受けて、臨時に開設されるFM放送のラジオ局のことです。免許人は各自治体となり、おながわさいがいエフエムの場合は女川町が国から免許を受けています。東日本大震災を受けて、東北・関東地方では27局が開局し、このうち19局が現在も放送を継続しています。主に自治体や政府機関からの被災した住民に対する各種情報をまとめて放送していますが、その他、各局ごとに独自の方針に基づいた番組なども制作・放送しています。
免許人は自治体となりますが、その運営は自治体が中心になっているところもあれば、地元のNPOが中心になっているもの、また元々その地域に既存のコミュニティFMが存在した地域ではそれらの運営会社が業務委託を受けるカタチで放送している場合もあり、様々です。また運営資金は自治体が負担する他、日本財団など民間からの寄付や助成金に頼っています。おながわさいがいエフエムの場合はこの助成金で多くを賄い、足りない分は発起人の個人持ち出しによって運営されています。(町からは放送場所=プレハブを無償でご提供いただいています。)

Q3.おながわさいがいエフエムは誰が何の目的でやっているの?

女川町出身で、震災による津波で自らも実家だった建物を流され、失った会社員の松木達徳(42)は、震災直後よりボランティア活動を行っており、その中で高台ごとに生き残った避難所間が遠く、デマなども飛び交っている状況を目の当たりにしたことから、リアルタイムで情報が伝えられる「メディア」の必要性を実感。いったん帰京した際に、偶然臨時災害放送局という制度があることを知り、その開局を思いつき、友人・知人に相談したところ、その趣旨に賛同した放送業界などで働く友人らが協力を申し出たことから、町側へ相談。承諾を得て、松木とその友人達が発起人となって、機材調達や諸手続などを分担しながら手伝い、開局準備が進められました。
またその際、実際の放送の運営・番組制作はあくまで地元スタッフで・・という方針が決められ、避難所で松木が声をかけたメンバーを皮切りに、希望者を募り、メンバー11名が集まりました。以後は東京からのサポートチームと実際に現地で放送にあたる2つのチームが作られ、合計30名弱の任意団体おながわさいがいエフエムとなって、放送局の企画・運営にあたっています。現地チームのうち、3名だけが放送局の専任スタッフとなっていますが、それ以外のメンバーは全員他に本業を持つボランティアです。
当初は町内にとにかく必要な情報を、被災者自らが伝えることで同じ目線で伝えることを目的としていましたが、現在はそこから、町民の声や意見を共有できる「場」となって、新しい町づくりの一翼を担う復興メディアとして機能していきたいと考えており、町内で行われるイベントの中継や企画・制作も積極的に参加しています。

Q4.やっているのはどんな人たち?

下は高校生から上は30,40代まで経歴も様々なメンバーがあつまりました。詳しくはおながわさいがいエフエムwebサイトのメンバー紹介ページをご覧ください。

Q5.放送はいつやっているの?

基本的に24時間、何かしらの番組は放送しています。

生放送の情報番組「おながわ☆なう。」については(月)~(金)が昼11時半~午後1時までの一回、(土)は生放送はお休みし、(日)には昼12時~午後1時の1回放送しています。その他、録音番組なども制作・放送していますし、生放送番組については1日数回再放送も行っています。くわしくはタイムテーブルでご確認ください。

Q6.放送はどうしたら聞こえるの?

女川町内の方はFMラジオ79.3MHzにあわせてお聞きください。ただし町内でも一部電波の入りづらい地域もあります。詳しくは放送エリアについてをご覧下さい。
また女川町以外の方はインターネットによる同時再配信(サイマルラジオ)でもお聞きいただくことができます。詳しくはこちらをご覧下さい。
さらに過去の番組のアーカイブについてはポッドキャストとしても公開しています。詳しくはこちらをご覧下さい。

Q7.いつまで放送しているの?

当初は2~3か月程度の文字通り、臨時での放送を予定していましたが、復興の進み具合や町内からのご要望を受けてこれまで数ヶ月置きに女川町役場側と話し合いながら延長を行ってきました。現在のところは2014年3月までを予定しています。

またコミュニティFMとなって恒久的な放送局として継続してはどうか?というご意見もいただいていますが、現在のコミュニティFMの制度では地元にある程度の企業や産業があり、それらのスポンサードを受けた”小さな民放”という形態をとらざるを得ません。しかし現実に女川町よりも人口が大きな町でも維持できずに、年数局単位で倒産が相次いでいる状況や、年町の人口や産業の復興の見通しすらたたない今の情勢ではこのモデルではとても成立しえないと考えています。ただし、ラジオ局という媒体が復興していく町の中で必要とされていることは間違いなく、私たちはこれまで臨時災害放送局として運営してきた経験を元に、今後、総務省及び関係機関に対して、現行のコミュニティFMや関連する制度の見直しや緩和をお願いしていきたいと考えています。

Q8.番組のテーマ曲で流れている「トトロ」の曲が気になるんだけど・・・

映画「となりのトトロ」のオープニング曲「さんぽ」です。
復興の道のりは長いけれど、それでも一歩ずつ「歩こう 歩こう」と、
自分たち自身とラジオの前の女川町民を励ます意味でこの曲を選んでいます。

番組スタート以来ずっとこの曲を使っていますが、
バージョンを定期的に変えていまして、
現在は4バージョン目のジャズアレンジ版を使用しています。

現バージョンは、東京ブラススタイルというグループの
「ブラスタ・ジブリ」(ユーシージェイジャパン UCCY-10002)というCDに収録されています。
ちなみにその冒頭に流れている鐘の音は、かつてJR女川駅前にあったからくり時計の音で、CDには収録されていません。

なお一番最初に使用していたバージョン(女川さいがいFMのテレビドキュメントなどでよく流れていたバージョン)は
ウクレレアレンジされたもので、
「ウクレレ・ジブリ」(ジェネオン エンタテインメント GNCL-1020)というアルバムに収録されていたものになります。

Q9.なんで「がんばっぺ!」なの?

みんなにかけ声をかけたい、一日一日確認しあって生きていきたいという想いから毎回の放送の締めの言葉を「がんばっぺ!」にしました。(東北弁です。)

Q10.見学・遊びに行っても良い?

現在、土曜・祝日は生放送を行っていませんので、平日または日曜日にお願いしています。見学についての詳しいことはこちらをご覧下さい。

さいがいエフエムというより、現在の女川町の姿を一人でも多くの方にご覧いただければと思っています。

Q11.私もおながわさいがいエフエムに入りたいんだけど・・・

スタッフは常に募集中ですが、実際人が足りないのは平日の日中ですので女川町内あるいは石巻市など周辺地域在住で車などで自力で通える方に限らせていただいています。まれに数週間滞在してボランティア参加したいという学生やラジオ業界志望の方などからお問い合わせいただくことがありますが、現状、女川町内ではアパートはおろか、宿泊施設もありませんし、ボランティアの方がテントを張ったりするスペースもありませんので、お断りさせていただいています。

また東京地区の方については、現在、毎週日曜放送分の番組を東京で制作(出演は東京在住の女川町出身者、さいがいFM出身者が中心)したり、イベント開催時などに現地へ応援にいったりと東京地区での活動がありますので、そうした活動を手伝っていただける方を若干名募集いたします。あなたの連絡先と経歴などを書いて、info@onagawafm.jp 宛でメールをお送り下さい。

Q12.差し入れとか寄付とかしたいのだけどどうしたらよい?

地元女川町内のみならず、ボランティアで女川にきたことのある地方の方など中心に定期的に食べ物などの差し入れをお送りいただき、スタッフ一同感謝しております。が、まれにキャパシティを超える量をお送りいただくことがあります。私たちの活動場所は二棟のプレハブでして、狭いスペースにスタッフと機材を押し込んでいます。できましたら、お送りいただく前に、何をどれくらいの量お送りいただこうとされているのか?一度電話ないしはメールでご連絡いただけますと大変助かります。

また寄付についてはこれまでは現地に銀行などもなかったことから、原則受け入れないことにしていましたが、現在は受付しております。

活動資金を寄付していただける場合は下記までお願いいたします。

【寄付金受付口座】
放送終了前にご寄付の受付を終了させていただきました。
皆様のご好意により、放送終了まで続ける事ができました。
ありがとうございました。集計結果は追ってお伝えいたしますので、いましばらくお待ちください。

Q13.・・・・で、黒井さんって結局どこへ行っちゃったの?

ここからはNHKの番組「がんばっぺラジオ」をご覧いただいた方へ向けての
疑問に対する回答です。

番組中、放送局を飛び出し、女川から家出してしまって衝撃を与えた黒井元ディレクターですが、その後、東京での放浪生活を経て、おながわさいがいFMスタッフに連絡があり、2012年2月に女川町へと戻りました。

その後、現在はFMには復帰していないものの、自宅で震災前と変わらないニート生活を再開しています。無事、元気でおりますのでどうぞご心配なく

本人からのメッセージ

「ボクが消えたのはボクに全ての問題があって、他の人や現場にはなにも問題がないことを伝えたいです。

Q14.テレビを見ていたら、やたらとパソコンとか「けいおん」とかオタグッズが映ってたけど、ひょっとして中の人ってオタクなの?

なんでか知りませんが、普通ラジオ局といったら音楽好きとかが集まりそうなものなのに、気がついたら中心メンバーにインターネット・アニメ・漫画好きのオタクや腐女子が揃っていました。そのせいか選曲にアニソンとかボカロが多いのは仕様です。
オタグッズはそんなFM局の雰囲気に合わせてか全国の皆さんから差し入れられたものです。

で、でも中にはロック少女とか、俺はアニメ好きじゃないですから!と全力で否定するミキサーさんとかもいますので、そればかりでもないようです。

またパソコンはスタッフに一人一台支給しており、各自原稿や台本のやりとり・作成・管理や取材してきた音の編集などに使用している他、スタッフ間では常時スカイプのチャット機能を立ち上げており、これによって女川の現地メンバーと東京にいる支援チーム間で情報共有しながら、放送を行っています。

Q15.ミキサーの人が突然喋りだして怒ってたけど、あれはどういう意味?

ミキサーの人=鈴木さん(通称:ブティックさん)はちょうどあの頃、やっと仮設住宅に入れたものの親子三人で暮らすにはあまりに狭いそのスペースをどう有効活用するかで悩んでいました。対して、あの日の担当パーソナリティーである宮里さん(通称:さいじゅさん)は普通にその日のテーマ「あなたがいま欲しいモノ」に関して普通にトークをしていました。自分達、仮設組が物が置けないと悩んでいるときに、こんなテーマでのほほんとトークをしていていいのか!?というのが彼の問題提起でした。

ちなみに宮里さんは自宅は高台にあって辛うじてあの津波も乗り切ったものの、地震で家のあちこちが補修が必要な状態であり、長らく電気・水道などのライフラインも通じず、また避難所や仮設の人と違って、家が生き残ってしまったばかりに食料その他の支援もあまり受けられませんでした。宮里さんにしても決してのほほんと話していたつもりはなかったのですが、この日の鈴木さんにはそう聞こえてしまったようです。

おながわさいがいエフエムメンバーには、家も仕事も(家族も)すべてを失った人、家や家族は失ったが仕事は残った人、家は残ったが仕事や車を失った人、仕事場(店)や家族は失ったが、車や家を失った人 など様々なパターンの人がいます。本当は誰もが被災者であるはずで、上も下もないのですが、その受けた被害の違いで時折意見が分かれたり、対立する点になることもあります。これはおそらく今後も長きにわたって、被災地共通の問題になるのではないかと考えています。

Q16.室蘭のFM局がでてくるけど、あれはどこ?

北海道・室蘭市にあるコミュニティFM「FMびゅー」です。おながわさいがいエフエムのスタッフ研修をお願いしました。FMびゅーの沼田勇也社長が2011年6月に被災地の現状を見たいと女川を訪れ、数日間放送を手伝いながら、継続的に支援できることがないか?と提案してくださったことがきっかけでした。

その後もFMびゅーとおながわさいがいFMの関係は続き、12年6月にも第二陣のスタッフ研修を実施しました。

Q17.なんでスタッフにアンケート(進路調査)をやっていたの?

おながわさいがいエフエムは永続的に続くことを目的にやっている企業ではなく、震災とそれによる津波で町が壊滅状態になったという危機的状況下で、助成金を受けながら全員がボランティアで活動している有志による放送局です。従ってメンバーの生活の安定や将来を保証してあげることはできず、みんなの「この町の」ためにというモチベーションだけで続けているのが現実です。

夏前ごろから、(町の将来が見えなかったり、職や住むところを考えて)町を離れていく若い世代が増えていたことや実際にメンバーでも離脱する人がではじめていたこと、また半年間、慣れぬ放送という活動に取り組んできてそろそろ疲れていたメンバーもでてきていたことから、「いつまでこの活動ができるのか」を他ならぬスタッフ自身に問うこと、それによって今後の方針を決めることを目的として代表である松木らが相談してあのアンケートを実施しました。

内容は8問にわたり、

  • Q1.女川さいがいエフエムに入ってよかったですか?
  • Q2.周りの人はラジオを知っていますか?
  • Q3.女川さいがいエフエムでこれからどういうことをやりたいですか?
  • Q4.女川さいがいエフエムは続けるべきだと思いますか?
  • Q5.続ける場合、期間は?
  • Q6.続ける場合、いつまで関わることができますか?
  • Q7.将来、コミュニティFMにするというアイデアについてはどう思いますか?
  • Q8.あなた自身の今後の希望する進路は?

というものです。

高校生3名も含まれていたので、進路希望と書きましたが、本当の就職・進学調査というわけではありません。ただしその高校生のうち複数はさいがいエフエムの活動を通して、メディアの仕事に興味を持ち、そちらの世界を目指そうとしています。

結果としては回答者全員が「さいがいエフエムはできる限り継続すべきとし」、そのうち2人だけが「すぐにやめたい あるいは(2011年12月=年内)でやめたい」、残りのメンバーは震災一年となる3月いっぱい までとした者と、それ以降も物理的に支援を打ち切られない限りは放送を続けたいとした者が半々ずつという結果でした。

放送期間の延長についてはこうして内部スタッフの意向もくみ取りながら決めていて、その結果、14年3月までの継続決定につながりました。